昨年の12月17日に小惑星による恒星食を観測し、減光を確認しました。
減光の観測に成功したのは実に3年ぶりです。恒星食の観測は天文の分野では、新彗星や新星あるいは超新星の発見などと同じく、アマチュアが天文観測に力を発揮できる分野です。恒星食では掩蔽される恒星の減光時間の観測により、小惑星の形状、軌道要素、衛星の有る無しなどの決定や計算に重要な情報を提供できます。詳細は関係する解説書や論文、記事に譲りますが、「星が一瞬消える」という現象を見るとたいへん感動します。今回は私一人だけの観測の成功でしたが、成功者が二人以上多ければ多いほどデータの確かさが増します。
観測結果は以下です。
小惑星 (157)Dejanira(14.9mag)
恒星 UCAC4 491-002799(11.29mag)
観測者氏名 内山貞幸(Uchiyama Sadayuki)
住所及び位置 浜松市天竜区相津399
北緯34度54分52.3秒(±1秒)
東経137度49分7.8秒(±1秒)(GPS表示による、世界測地系)
標高 116m(国土地理院地図、1/25000)
観測時間 2024年12月17日12時5分00秒~12時9分00秒UT
(21時5分00秒~21時9分00秒JST)
減光の有無 減光あり
減光時刻 開始:12時7分37.948秒±0.023秒UT
終了:12時7分39.346秒±0.017秒UT
観測機材 MEADE製LX90-30-ACF 30cmΦ、f/10、自動追尾
直焦点撮影、0.7倍レデューサー、天頂プリズム使用
CMOSカメラ:ZWO ASI290MM、OAG:ZWO OAG
カメラの設定 MONO8,1448×1096,ビニング2,AVI,
露出時間 112ms,ゲイン 400
時刻の基準 自作のLED発光装置にGNSS受信機キットを組み込み、
1ppsパルスをOAGを介してカメラへ照射して時刻補正に使用
照射時間は3分00秒から5分00秒と9分00秒から11分00秒
GPSデータと1pps信号から作ったDSR信号を、USBを介して
パソコンに入力
パソコンの時刻補正は「HACSTIP 2.0.0.5-T003」による
1秒単位の確認は観測の前に117の時報にて行う
その他 SharpCap4.0でデータ収集と記録、Limovieにより時刻補正値の
計算とデータ処理:Limovie 0.9.99.5A
時刻の解析は独自に行い、 Limovieにより確認
観測結果から計算と描画により整約図ができます。この作業の可能な方は東京在住の「広瀬敏夫さん」です。
広瀬氏による結果を以下に示します。